ハラスメント防止とメンタルヘルスケアに取り組む必要性を見直す

2020年6月より、事業主はハラスメント防止のための措置を講ずることが義務化されました。この法改正の背景には、職場におけるハラスメント事例がいかに多く、根強い問題として存在しているかが表れています。
ハラスメント防止によるイキイキとした職場づくりは生産性向上や社員の定着率アップにつながりますが、いざ取り掛かろうとしても何から始めていいか分からない場合が少なくありません。
難しいからと言って真剣に取り組まないと、企業にとって大きな損害となることもあります。この記事では、ハラスメント防止・メンタルヘルスケアの必要性について改めて見直すことにします。

ハラスメント防止とメンタルヘルスケア

よく聞くようになった「○○ハラスメント」

職場における「○○ハラスメント」という言葉をよく聞くようになりました。○○には様々な言葉が入り、それらを正しく理解する必要があります。ここでは2つの代表的なハラスメントについて簡単にご説明します。
一つ目は「セクシャルハラスメント(セクハラ)」です。これは、相手が不快に感じるような性的な言動によって労働条件に不利益を与える、または労働環境を害することです。
セクハラは同性に対するものも含まれますし、被害を受ける労働者の性的指向や性自認に関わらず該当します。
二つ目は「パワーハラスメント(パワハラ)」です。これは、職場内の地位や人間関係の優位性を利用して、相手に対して嫌がらせをしたり苦痛を与えたりすることです。
パワハラは上司が部下に対して行うイメージが強いものすが、部下から上司に対する場合にも当てはまります。
これら2つのハラスメントの他にも、モラル、マタニティ、アルコールなど、実に20種類以上のハラスメントがあると言われています。

ハラスメントによるメンタルヘルス不調

ハラスメントの被害に遭う社員は、メンタルヘルス不調に苦しむ可能性が高くなります。メンタルヘルスとは精神的・心理的健康状態のことで、身体的健康と同じように重要です。
職場には気の合う人とそうでない人が混在しており、その中で業務上の支障にならない範囲で上手に接していかなければなりません。そこへハラスメントが発生すると、労働者にとって精神的・心理的なストレスがかかってしまいます。
メンタルヘルス不調により遅刻や欠勤が増えたり、作業効率が低下したりすることがあります。「五月病」と間違われやすいですが、時間と共に改善することはなく、適切な治療や処置が必要になります。
またメンタルヘルス不調を放置すると、うつ病や自殺につながるケースもあります。個々の性格の違いや脆弱性も関係するため判断が難しいですが、社員のメンタルヘルス不調は、本人にとっても企業にとっても早急に対処すべき問題です。

「相談窓口」の設置で解決する問題なのか?

社員の悩みを解決するために、多くの企業で「相談窓口」が設置されています。2012年に行われた「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」によると、1000人以上の社員を抱える94%の企業が「相談窓口」を設置していることが報告されました。
では、実際に「相談窓口」を利用する人はいるのでしょうか。報告によると、全体の10%未満しか「相談窓口」を利用したことがないという結果でした。ハラスメントを受けた場合に、第三者に相談するよりも我慢するという選択をする社員がはるかに多いことが分かります。
「相談窓口」が設置されているのは良いことですが、利用者が安心して相談できるレベルにまでは達していないようです。被害者の感情を本当に理解してくれるのか、相談内容が明らかになって今後さらに不利になってしまうのではないかなど、利用者の不安を払拭するだけの説得力がなければ意味がありません。

ハラスメントとメンタルヘルス不調が企業に与えるリスク

ハラスメントにより社員がメンタルヘルス不調に陥ると、企業にとってもマイナスになってしまいます。まず社員の労働意欲がなくなり、生産性が低下します。欠勤率や離職率の増加にもつながることでしょう。
ハラスメントは職場の雰囲気が悪くなる原因としても挙げることができます。その結果、優秀な人材の流出や新入社員の早期退職などが起こり、人材不足問題が深刻化します。
さらに、社員がうつ病を患い自殺してしまうとどうなるでしょうか。金銭的損害はもちろんのこと、社会的イメージを大きく損なうことにもなります。

ハラスメントとメンタルヘルス不調が企業に与えるリスク

ハラスメント防止とメンタルヘルスケアは組織的に取り組むべき問題!

ハラスメントは本人が意図せずに加害者になってしまう可能性もあるデリケートな問題です。時代は流れ、昔は当たり前だった言動でも、現代ではハラスメントに当てはまるケースが多くあります。
ハラスメント防止とメンタルヘルスケアは、管理職も含めて組織全体で取り組むべき問題です。ハラスメントとメンタルヘルス不調について正しく理解し、企業全体で判断基準を共有することが大切なのです。
法改正による義務化もそうですが、早期解決による企業のリスク軽減にも関係しているため、できるだけ早めに対策すると良いでしょう。何から始めていいか分からない場合や、相談窓口担当者の研修をしたいなど具体的なご要望がある場合にも、ラリマースキルアップサロンは最適な研修プランをご提供いたします。